時を超える記憶の香り〜子ども時代からの愛着〜

時を超える記憶の香り〜子ども時代からの愛着〜 HSPの心の中

ずっと記憶に残っている好きな香りや匂いがある。
ひとつは銀行から漂ってくる空調の排気の匂いだ。
夏の暑い日、歩道を歩いていてふと氣がついた。
エアコンを使っているせいか、銀行の外壁にある室外機から少し風が出ていた。その風は涼しいくらいだった。
なぜか私はそこから出てくる空調の独特の風の匂いが好きで、その匂いを嗅ぐと勝手に(夏だなあ)と感じてしまうのだ。季節のなかで、夏が一番開放感を感じられて好きだからなのかもしれない。

記憶を思いおこしてみると、お盆に実家に帰ったとき、毎回エアコンのつけ始めは何となく匂いがするなあと感じたのが始まりのような氣がする。カビや空気中のほこりなどが混じりあった匂いなので苦手な人もいるが、私はあまり氣にならない。
この風の匂いに似ている。

ふと子どものころの感覚を思い出していたのかもしれない。家族でのんびりとご飯を食べながら、社会に出て働く人間関係の悩みなどからほど遠い子どものころ……。
毎日があっという間に過ぎていく日々のなかで、ちょっとした自分の好きな感覚を思い出して胸のあたりがほっこりする一方、年をとったなあとも感じてしまう。

もうひとつは、太陽の匂いに包まれた干したての布団やシーツ。
子どものころ、縁側に干してあった布団にじゃれて遊んでいたことがあった。
頰をくっつけた布団は柔らかくて温かく、自然の匂いというか空気と太陽がまざりあった匂いというのか、自然の多い田舎で思いっきり太陽を浴びて干された布団は氣持ちよかった。

ポカポカと暖かい日ざしに包まれたなかで、自分の体に触れるものが氣持ちよかった。そこには、それ以上でもそれ以下でもない単純に氣持ちがいいという本能があった。目に見えないけど確かに感じる自然の匂い。照りつけるような暑さではなく、ポカポカと柔らかく氣持ちがいい感覚が好きだ。

アロマの香りも好きだ。
何年も前に自分がつけていた香水を誰かがつけていたとき、過去を思い出すことがある。
私は、昔からきつい香りや甘ったるい香りが苦手だった。アロマオイルも寝る前に胸のあたりに塗ると落ち着くので、『ラベンダー』や『ウェーブリズム』というアロマオイルを使っていた。
『ウェーブリズム』は香りがきつくなく、心地よい甘さだった。ラベンダー、マジョラム、ローマンカモミール、イランイラン、サンダルウッド、バニラビーンズが配合されていて、リラックス効果があるらしい。

昔から香水、シャンプーやボディクリームなど肌に接するもの、洗剤や柔軟剤の香りがきついものは自分の感覚が鈍るような氣がして苦手だった。だから、軽い香りの香水を選ぶし、香水をつけるときも洋服にシュッとかけるだけで、直接肌にはしない。
洗剤や柔軟剤の香りも同じで、香りがきつすぎると自分のセンサーが狂ってしまうので、洗濯するときは香りが残る柔軟剤は少量にする。自分の顔まわりにきつい香りが残るのは苦手なのでシャンプーも同じだ。
人とすれ違ったとき、特に汗をかいていると、自分からシャンプーや柔軟剤の香りがすることがある。人からの香りでも、私には化学薬品のきつい匂いに感じてしまい苦手だ。

好きな匂いで言うと、雨が降りそうな匂いがなんとなく好きだ。
アスファルトが湿気の帯びたような匂いに変わり、もうすぐ雨が降るかもしれないと感じる。
土の匂いに似ているのだろうか?
それとも空気の匂いなのだろうか?
田舎育ちの私はなんだか懐かしさを感じる。

本屋のインクの匂いも好きだ。
子どものころ、両親が買い物をしている間は本屋で立ち読みして待っているくらい本が好きだったせいか、本屋に入るとインクの匂いがするときがあり、昔からなぜかこの匂いが好きだ。

匂いや香りはよくも悪くも昔を思い出させてくれる。その懐かしい思い出に心が灯され瞬間、自分の五感がまだ鈍っていないという安心感にもつながる。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

終わり。

大杉ナツナ

「自分を深く知る」ことをさまざまな角度から探求し、自分を癒やしていく過程で、生きづらさの原因がHSPという特性であることにたどりつきました。

このブログはHSPという特性に向き合いながら、結婚と天職を手に入れるまでの心の深海潜水夫記録です。

大人になってHSPを知り、ふに落ちた過去の思いを忘れずに書きとめておきたいと思い始めました。小説も書いています。

現在、工場で働くHSPアラフォーです。
あくまで、個人的考察です。

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