HSPの色と感覚の創作探求〜柔らかな癒やしへの扉〜 続き1

パステルは、粉末の顔料を粘着剤で棒状に固めた画材だ。水やパレット、筆を使わないので持ち運びもコンパクトなのが特徴だ。

パステルアートを描くときは、まずぼかし網にパステルをこすりつけて粉末にする。色を作るのではなくて、たくさんの色のなかから使いたい色を選びながら描いていく。
だから、絵の具と違い色を混ぜることはない。

そのかわり、こすったり、ぼかしたり、のばしたりしながら絵を描く。パステルは定着力が弱くすぐに劣化してしまうので、最後にフィキサチーフという定着剤をかけて完成する。

パステルアートの画材は百均でも売られていて簡単に始められるので、最低限のものをそろえて自分なりにやってみたくなった。お手軽なので子どもも楽しめる。パステルアートのふんわりした優しい世界に興味があったころ、画材を百均で買って、試しに簡単なハートなどを描いたりしていたころを思い出す。

パステルアートはどこか幻想的で柔らかい。はっきり目に見えない光も表現できる。
このパステルの柔らかく光を通したような色合い。指に柔らかな色の粉をつけて、ふんわりと紙をなぞったときの質感と指に残る優しい感覚が心地よい。視覚的にも感覚的にも、パステルアートに宿っている柔らかさや優しさのような何かが好きだった。

私はパステルアートの柔らかい粉末に触れていると癒やされ、パステルで描いた絵は私らしさを表現できているようだった。

調べてみると、パステルアートはセラピーにも使われているそうだ。描きながら癒やされて、その癒やしの空気感は絵にも伝わるので、心と体を癒やすセラピーとしても取り入れられているのだろう。

社会で生きていくことで人間関係に悩んだり、仕事上でのストレスを抱える人は多くいると思う。私もそのひとりなのでパステルアートに癒やしを感じてしまうのだろうかと、余計なことを考えてしまう。

そういえば、ある方に過去世を観てもらったとき、ある過去世では今でいうオーラ診断のようなものをしていたことがあるらしい。だから相手のbeforeとafterの変化を分析したり、データを集めて研究するということが好きなのかもしれない。

そんなことを考えながら家でもパステルアートをやってみた。柔らかい粉末のパステルを画用紙に自由にのせて描いていく。うまく描くというより、やはり五感で何かを感じとっていく感覚があった。

ふと、日常の身近な自然をスマホのカメラで撮っている感覚を思い出した。
歩きながら氣になったものにピントを合わせて、花や空、空間に差し込んだ陽の光……なんてことのない風景をカメラにおさめていく。そして、光が美しく差し込んだ瞬間を見つけて、シャッターを切る。

私の生まれ育った町は何もなかったが、都会にはないものがたくさんあった。
川があり、山があり、田畑もある。自然の音や匂い、美しい色、季節が変わるときの空気。
自然の宝庫だった。

景色が光り輝く瞬間を感じ取る力は、故郷で培われたのだと直感した。きっと故郷の自然は、私に備わっている感覚の使い方を教えてくれていたのだ。この感覚に動かされるように表現することが、自分自身をも輝かせる方法だと感じた。

パステルアートの粉末から感じられる柔らかさは、そんな感覚にも似た懐かしさがあった。

パステルアートに満足した私は、次に羊毛フェルト製作に興味をもった。羊毛フェルトキットは百均にも売っていて、手軽に始められる。これでひとつの作品ができるというのだからお得だ。

やりたいことが決まると、私は目星をつけた近くの羊毛フェルト教室に通った。タイミングよく土日もやっている教室に体験講座に行き、すぐに入会した。
少人数で和氣あいあいとした感じがよかった。

Wikipediaによると、羊毛フェルトは、羊毛やウールを特殊な針でつつくことで繊維を絡めながら任意の形に成形できる手芸の一種。ニードルフェルト(Needle Felting)とも呼ばれていて、さまざまな色の羊毛を自由に組み合わせて作品を製作する。主に動物や食物、アクセサリーなどを模したマスコットやブローチが作られる……とある。