母に「隣の部屋で寝なさい」と私だけ寝かされた。いつもはニ階にある自分の部屋で寝ていたのに、その日に限って一階の隣の部屋で寝ることを命じられた。
扉を少し開けられ、私はにぎやかな空間から取り残された感じがあった。
子どもはこんなふうにかわいらしくいなさいという戒めなのか、私にやきもちを妬かせて面白がっているのか、叔母に対していい姉を演じているのか、優しく接することで私の娘も大切に扱えよという意味だったのか、母が何を思っていたのか今となってはわからない。そのあとで、父が「二階で寝なさい」と言ってきたので、結局私はニ階の自分のベッドで寝た。
(なんだかなあ……)と思う自分がいたが、私は母の生きてきた大変な家庭環境を子どもながらにちゃんと察していたし、母に「私は寂しい」と伝えたところで、母に優しくされるのか否定されるのか想像がつかなかった。母が入院していたとき、私は叔母に預けられていたので、氣を使って叔母が喜ぶように接したのかもしれない。
(ドアなんか開けておかなくてもいいのに)(わざとらしい)(何の意図があってやってるの？)と、幼い私は傷ついた。
セラピストさんには、「小さな私は感情を垂れ流している状態だから混乱していて、でもそんな自分を見ていたくないから、自分の感情にふたをしているんじゃないかな？」と言われた。セラピストさんに癒やしてもらうと、不思議なことに今までのどよんとした体感も感情もなくなっていた。
「もう一度お母さんを思いうかべてください」と言われると、心の距離はあるが、母がこちらを見ている感じがあり、父は背後にあった暗さがなくなった感じがした。
このセラピーで出会った小さな私は、体も心もスライムみたいにだらーんとなっていて、生き生きとした子どもらしさがまったくなかった。癒やしてもらっている間に(なんで私は愛されないのかなあ)(どうすれば愛されるの？)という思いが出てきていて、そこを解放していくとセラピストさんのおなかがすごく痛くなったそうだ。
また、何かに追い立てられるような感覚があったみたいで、若いころの母はまさしくそうだった。早く早くと私を急かした。いつも急かした。これ以上は無理なのに急かした。
自分の鬱憤を娘で晴らしていたのか、それは定かではない。
ひととおり心身の癒やしが終わり、最後にメッセージをもらった。
「あなたは誰かに愛されてもいいんだよ。そして、あなたも誰かを愛していいんだよ」
早くしろと急かしたり、わざと私にいとこをかわいがる様子を見せつけたりするくらい私を気にしない母親だったから、(なんで私は愛されないのかなあ)(どうすれば愛されるの？)という思いがあった。
だから(頑張っても愛されないじゃん……！)と私は自分をあきらめるようになっていったんだと思う。
母の価値観と私の個性は相性が悪かった。世代が違う。育った時代が違う。
どこの家庭でも母との関係で悩むのだろうか？
価値観や考え方に調和があって仲良しでいられる親子っているのだろうか？
私の母は、娘の長所を伸ばそうとする人ではなかった。
だから(なぜ、そのままの自分で愛されないのか？)という気持ちが出てきたんだと思う。
このインナーチャイルドの癒やしは停滞していた私の心に新しい風を送り込んでくれた。
続けて、母のインナーチャイルドを癒やしてもらうことにした。
今度は子どもの私ではなくて、母のインナーチャイルドを体感しながら観察するイメージだ。
母のインナーチャイルドが私にトランスすると、足の親指の付け根に痛みが走り、肩も重かった。
薪でお風呂に入っていた時代、十代で体がしっかり成長していない母は、兄弟をおぶって世話をしたり、薪を運んだりしていた。全身に痛みがあって立っていられないくらいだった。
セラピストさんには「真っすぐ背中をのばせないね」と言われた。
濃縮された感情が、出口で詰まっている感覚があった。
吐き出したいのに吐き出せない。息もできない。
この家に生まれたから仕方ないというような諦めがあった。
セラピストさんは頭も痛くて、とてもしんどそうな表情を浮かべていた。すぐに母のインナーチャイルドを癒やしてもらって何分か経つと、今までが嘘のように全身が楽になった。
「自分を深く知る」ことをさまざまな角度から探求し、自分を癒やしていく過程で、生きづらさの原因がHSPという特性であることにたどりつきました。
このブログはHSPという特性に向き合いながら、結婚と天職を手に入れるまでの心の深海潜水夫記録です。
大人になってHSPを知り、ふに落ちた過去の思いを忘れずに書きとめておきたいと思い始めました。小説も書いています。
現在、工場で働くHSPアラフォーです。
あくまで、個人的考察です。